コピー機の仕組み・原理についてわかりやすく解説!

複合機・コピー機

コピー機はオフィスに欠かせない機器の一つです。
しかし、ボタンを押すだけで文字や画像が紙に印刷される仕組みを、正確に理解している方はそれほど多くありません。

この記事では、普段何気なく使っているコピー機のスキャンと出力の仕組みや原理について、図解付きでわかりやすく解説します。
仕組みを理解することで、自社の業務に適した機種選びの参考にしてください。

コピー機の仕組み

コピー機は、原稿を読み取る「スキャン機能」と、読み取ったデータやパソコンからのデータを紙に印刷する「出力機能」を備えています。
スキャン機能と出力機能は、さまざまな役割を持つパーツが連携して成り立っています。

コピー機を構成する主なパーツとそれぞれの役割は、以下の表をご覧ください。

パーツ名役割
原稿台(ガラス)スキャンする原稿を置く場所。
スキャナーはここに置かれた原稿を読み取る
白色LED原稿に光を当てて、反射光を得るためのライト
ミラー反射光をCCDセンサーやレンズへ正しく導くための鏡
CCDセンサー光を電気信号に変換してスキャンデータとして取り込むセンサー方式のひとつ
感光体ドラム原稿の像(静電潜像)を一時的に形成する重要なパーツ。
レーザー光やトナー処理がここで行われる
帯電ローラー感光体ドラム全体を均一にマイナス帯電させることで、像の形成準備を行う
レーザー光感光体ドラムの一部に照射されることで、電荷を部分的に中和し、
画像情報(静電潜像)を描く
現像ローラートナーにマイナスの電荷を与え、静電潜像に合わせて感光体ドラムへトナーを付着させる
トナー粉状のインク。感光体ドラムに付着し、用紙に画像や文字として転写される
転写ローラー感光体からトナー像を用紙に移すために、用紙の裏からプラス電荷を与える
定着ローラー高温・高圧でトナーを溶かし、紙の繊維にしっかり定着させる(くっつける)
クリーニングブレード感光体に残ったトナーを拭き取って、次の印刷に影響しないようにする

コピー機がスキャンする仕組み

コピー機のスキャンは、原稿に光を当てて反射光の強さや色味をセンサーで読み取り、読み取った原稿の情報をデジタルデータに変換しています。
スキャンには、「CCDセンサー方式」と「CIS方式」という2つの方法が存在します。
それぞれの方式の特徴・用途について、詳しく見てみましょう。

CCDセンサー方式

CCD(Charge-Coupled Device)センサー方式は、コピー機のガラス台の下から白色LEDの光を原稿に照射し、反射光を読み取る方式です。
反射した光は、複数のミラー(鏡)によって一箇所に集められ、数枚のレンズを通してCCDセンサーに送られます。
センサーは光の情報を電気信号に変換し、画像データとして処理します。

CCDセンサー方式は、ピントが合って見える範囲の「被写界深度」が深く、ガラス面から多少浮いている本や厚みのある原稿でも、鮮明に読み取れるのが特徴です。

ただし、光路を確保するためのミラーやレンズといった複雑な光学系が必要になるため、どうしても本体サイズが大きくなり、コストも高くなる傾向があります。

CIS方式

CIS(Contact Image Sensor)方式は、赤・緑・青の3色のLEDを搭載したセンサーユニットを使い、原稿に直接光を当てながら読み取る方法です。
3色のLEDを高速で順番に点滅させ、原稿からの反射光をセンサーが直接読み取ります。

CIS方式は、CCD方式に比べてシンプルな構造をしているため、本体の小型化・軽量化が可能で、消費電力や製造コストも抑えられるのがメリットです。
また、消費電力が少なく、製造コストも抑えられることから、家庭用プリンターや小型の複合機に多く採用されています。

しかし、被写界深度が浅いため、原稿がガラス面に密着していないとピントが合いにくくなるかもしれません。
そのため、厚みのある本や凹凸のある原稿では、鮮明に読み取れないことがあります。
LEDを切り替えながら読み取るため、CCD方式に比べてスキャンに少し時間がかかる場合もあります。

コピー機が出力する仕組み

スキャンしたデータやパソコンから送られたデータは、出力の工程を経て紙に印刷されます。
コピー機が印刷物を出力する工程は、以下のとおりです。

  1. 帯電
  2. 露光
  3. 現像
  4. 転写
  5. 定着
  6. クリーニング
  7. 除電

コピー機の出力は、静電気の力を巧みに利用した非常に精密な仕組みとなっています。
各工程を順番に見ていきましょう。

帯電

帯電

参照:https://www.kouken.ricoh/science_caravan/_userdata/CopyFushigi.pdf

「帯電」の工程では、帯電ローラーを使用して、感光体ドラムの表面全体に均一にマイナスの静電気を帯びさせます。
帯電の段階で、感光体ドラムは数百ボルトもの電気を帯びた状態になります。

感光体ドラムとは、光に反応する性質を持つ物質でコーティングされており、カメラのフィルムのような役割を担う重要なパーツです。
印刷したい文字や画像の形にトナー(粉末インク)を正確に付着させるには、ドラム表面がムラなく帯電していることが欠かせません。

露光

露光

参照:https://www.kouken.ricoh/science_caravan/_userdata/CopyFushigi.pdf

「露光」では、スキャンした原稿やパソコンから送られてきたデータをもとに、レーザー光を感光体ドラムへ照射します。
レーザーが当たった部分では、ドラム表面のマイナスの静電気が弱まるか、もしくは中和されて失われます。

その結果、静電気が残る部分と失われた部分がドラム上に形成され、静電気の有無によって画像や文字と背景が分かれる仕組みです。
静電気がなくなった部分が印刷される領域となり、残った部分は余白になります。

露光の工程によって、目には見えない電気的な画像である「静電潜像」が形成され、トナーが付着するエリアと付着しないエリアが明確に区別されます。

現像

参照:https://www.kouken.ricoh/science_caravan/_userdata/CopyFushigi.pdf

「現像」とは、静電潜像をトナーで可視化し、実際の画像として形成する工程です。
現像ローラーは、内部のトナーカートリッジから供給されたトナーを、摩擦によってマイナスに帯電させます。

マイナスの電気を帯びたトナーを感光体ドラムに近づけると、静電気が失われた部分にだけトナーが引き寄せられて付着します。
逆に、静電気が残っている箇所とは反発し合うため、トナーは付きません。

つまり、現像では静電気の引力と反発力を利用しながら、感光体ドラム上にトナー像を描き出していくのです。
ここで初めて、見える形での画像が生まれます。

転写

転写

参照:https://www.kouken.ricoh/science_caravan/_userdata/CopyFushigi.pdf

「転写」とは、感光体ドラムの表面に形成されたトナー像を、印刷用紙へと移す工程です。
コピー機内部に給紙された印刷用紙は、トナー像が形成された感光体ドラムに密着するように搬送されます。

印刷用紙が搬送されるときに、用紙の裏側から転写ローラーで強力なプラスの電気が与えられます。
感光体ドラムの表面にマイナスの力で付着していたトナーは、印刷用紙からのプラスの引力によって一瞬で用紙の上へと移動し、紙の上にトナー像が正確に再現されるのです。

定着

定着

参照:https://www.kouken.ricoh/science_caravan/_userdata/CopyFushigi.pdf

「定着」の工程では、トナーを熱と圧力で紙の繊維にしっかりと固定させます。
転写の段階では、トナーは静電気の力で紙に乗っているだけなので、触ると簡単に剥がれてしまうためです。

トナーが乗った用紙を高温に熱した定着ローラーと、圧力をかける加圧ローラーの間に通し、通過した際の強力な熱と圧力によってトナーは瞬時に溶かされ、紙の繊維の奥深くまで押し込まれます。

その後すぐに冷却・固化されることで、トナーは紙としっかり一体化し、普段目にする仕上がりの印刷物が完成します。

クリーニング

クリーニング

参照:https://www.kouken.ricoh/science_caravan/_userdata/CopyFushigi.pdf

一枚の印刷が完了するたびに、コピー機は次の印刷に備えるため「クリーニング」を行います。
転写工程のあとでも感光体ドラムには微量のトナーが残ってしまい、そのまま次の印刷を始めると用紙にスジや汚れが出る原因となるためです。

クリーニングの工程では、クリーニングブレードと呼ばれるゴム製のヘラで、感光体ドラムの表面を物理的に掻き取り、残ったトナーをきれいに除去します。
不要なトナーを取り除くことで、つねにクリーンな状態で次の印刷を開始できるのです。

除電

除電

参照:https://www.kouken.ricoh/science_caravan/_userdata/CopyFushigi.pdf

最後の仕上げとして、静電気をリセットする「除電」の工程を行います。
クリーニングでトナーは除去しても、感光体ドラムの表面にはまだ静電気が残っている状態です。
静電気が残ったまま次の印刷に進むと、ドラム全体を均一に帯電できず、印刷の仕上がりにムラが出てしまうでしょう。

除電の工程では、感光体ドラムの表面全体に光を均一に照射し、ドラムの電気抵抗を一時的に下げ、表面に残っていた静電気を逃がします。
感光体ドラムは帯電前の状態に戻るため、次の印刷がスムーズにスタートできます。

まとめ

コピー機には、原稿を読み取る「スキャン」と、読み取った原稿を印刷する「出力」の機能が搭載されています。
スキャンには、厚みや凹凸のある原稿も鮮明に読み取れるCCD方式と、コンパクトで消費電力が少ないCIS方式があるため、自社の目的や規模に応じて選びましょう。

出力は、帯電から露光、現像、転写、定着までの一連の工程を経て印刷物が完成します。
さらに、印刷物が完成したあとに行うクリーニングや除電は、印刷品質を維持するために重要な工程です。

オフィスの業務に不可欠なコピー機・複合機の導入や入れ替え、コスト削減に関するご相談は、ぜひ株式会社ファーストにお任せください。
専門知識が豊富なスタッフが、お客様の利用状況やニーズに応じて、最適な一台をご提案いたします。

お役立ち情報一覧へ戻る

お問い合わせ Contact

お見積り・ご依頼・ご相談などご気軽に
お問い合わせください。

03-5662-9131

※弊社休日のお問い合わせにつきましては翌営業日以降の回答となります。
ご容赦ください。