コピー機を経費計上するときの勘定科目とは?導入方法別の仕訳例も紹介

複合機・コピー機

コピー機の購入やリース、レンタルで導入する際、正確な会計処理を行うためには、適切な勘定科目を把握しておく必要があります。
勘定科目とは、取引の内容を分類するための簿記上の項目です。

勘定科目は、税務調査や決算に備え、正確な仕訳処理を行うことが求められます。
経費計上の漏れや誤りを防ぐためにも、導入方法に応じた勘定科目の使い分けは重要です。
また、節税対策にもつながります。

今回は、コピー機を経費計上する際の勘定科目、コピー機に関連する他費用の勘定科目について解説します。

コピー機を経費計上する際の勘定科目・仕訳

コピー機は購入、リース、レンタルなど導入方法や償却方法によって、以下のように勘定科目が違うため注意が必要です。

内容勘定科目計上方法
コピー機の購入(10万円未満)消耗品費経費として一括計上
コピー機の購入(10万円以上)工具器具備品資産になるため減価償却しながら5年かけて計上
コピー機の購入(10万円以上20万円未満)一括償却資産一括償却資産になるため3年かけて均等償却
リース契約リース料取得時・支払い時・決済時で分けて計上
レンタル契約賃借料経費として一括計上

ここからは、以下の3つに分けてそれぞれを詳しく解説していきます。

  • 購入の場合に使える勘定科目・仕訳
  • リースの場合に使える勘定科目・仕訳
  • レンタルの場合に使える勘定科目

 購入の場合に使える勘定科目・仕訳

コピー機を購入した場合、金額によって勘定科目や計上方法が異なり、特に中小企業には30万円未満の取得に対する特例があり、一括計上が認められています。
ここからは、10万円未満の場合、10万円以上の場合、10万円以上20万円未満の場合の3つに分けて解説します。

10万円未満の場合

コピー機の購入費用が10万円未満の場合は「少額の減価償却資産」になるため、勘定科目は消耗品になります。
また、計上方法は一括計上にしましょう。

例えば、8万円の複合機を現金で購入した場合の仕訳方法は以下のとおりです。

借方貸方概要
消耗品費80,000円現金80,000円複合機購入

 10万円以上の場合

10万円以上のコピー機は「工具器具備品」として計上し、法定耐用年数(5年)に基づいて減価償却します。
一括計上はできません。
(参考:主な減価償却資産の耐用年数表

例えば、18万円の複合機を購入し、減価償却の定額法を利用する場合の仕訳は、以下のように購入したときと決算のときに行うのが基本です。

<購入したとき>

借方貸方概要
工具器具備品180,000円現金180,000円複合機購入

<1〜5年の決算のとき>

借方貸方概要
減価償却費36,000円現金36,000円複合機の
減価償却費計上

10万円以上20万円未満の場合

コピー機を10万円以上20万円未満で購入した場合は、「工具器具備品」にせずに「一括償却資産」にすることも可能です。
その場合は、取得費用を3年かけて1/3ずつ減価償却します。

例えば、18万円の複合機を購入し、一括償却資産にする場合は、以下のように計上します。

<購入したとき>

借方貸方概要
一括償却資産180,000円現金180,000円複合機購入

<1〜3年の決算のとき>

借方貸方概要
減価償却費60,000円一括償却資産60,000円複合機の
減価償却費を計上

なお、前述したようにコピー機の耐用年数は5年ですが、中古で購入した場合は計算方法が異なります。
中古品を購入した場合の耐用年数の求め方は以下のとおりです。

・法定耐用年数すべてを経過したコピー機の耐用年数→法定耐用年数×0.2
・法定耐用年数の一部を経過したコピー機の耐用年数→法定耐用年数-経過年数×0.8

なお、1年未満の数は切り捨てます。
上記にあてはめて計算した年数が2年未満の場合は耐用年数は2年となります。

リースの場合に使える勘定科目・仕訳

コピー機のリース契約は、一般的に「ファイナンスリース」に分類されます。
これは、リース会社が購入したコピー機を一定期間・一定額のリース料で貸し出す契約です。
ファイナンスリースの場合の勘定科目は「リース料」になります。

ファイナンシャルリースには所有権移転ファイナンスリースと所有権移転外ファイナンスリースの2つがあり、両者の違いは減価償却の方法です。

それぞれの違いをみていきましょう。

所有権移転ファイナンスリースの場合

所有権移転ファイナンスリースはリースが終了したあとにコピー機の所有権が契約企業に移る契約のことです。
リース終了後もそのままコピー機を使い続けられるのが特徴です。

なお、所有権移転ファイナンスリースではコピー機は会社の資産として計上されるため、決算時には耐用年数(通常5年)に基づき減価償却を行う必要があります。

例えば、180万円のコピー機を5年間リースした所有権移転ファイナンスリースの仕訳例は以下のとおりです。

<取得したとき>

借方貸方概要
リース資産1,800,000円リース債務1,800,000円5年でリース契約

<支払うとき>

借方貸方概要
リース資産30,000円現金33,000円リース料金と利息を支払い
支払利息3,000円  

<決算のとき>

借方貸方概要
減価償却費360,000万円リース資産360,000万円減価償却費を計上

この場合は、減価償却の計算方法を利用するため、資産(180万円)÷法定耐用年数(5年)で計算を行います。

所有権移転外ファイナンスリースの場合

所有権移転外ファイナンスリースは、リースが終了したらコピー機を返却する契約です。
多くの企業ではこの方式が採用されています。

所有権が移らないため、リース資産総額を契約期間の月数で割り、毎年その分を減価償却費として計上します。

例えば、180万円のコピー機を5年間リースした所有権移転外ファイナンスリースの仕訳例は以下のとおりです。

<取得したとき>

借方貸方概要
リース資産1,800,000円リース債務1,800,000円5年でリース契約

<支払うとき>

借方貸方概要
リース資産30,000円現金33,000円リース料金と利息を支払い
支払利息3,000円  

<決算のとき>

借方貸方概要
減価償却費360,000万円リース資産360,000万円減価償却費を計上

つまり、(180万円)÷リース年月(60ヵ月)×1年(12ヵ月)で計算を行うことになります。

レンタルの場合に使える勘定科目

コピー機のレンタルは「オペレーティングリース」とも呼ばれています。
リースとは異なり、レンタル終了時に機器を返却し、資産計上を行わない契約形態です。

レンタルの場合は、レンタルが終わった際の残存価額を査定し、元本部分から残価を差し引いてリース料を計上するため、勘定科目は「賃借料」になります。

レンタルの場合の仕訳例は以下のとおりです。

借方貸方概要
賃借料25,000円現金25,000円コピー機
1ヵ月レンタル

コピー機に関連するその他費用の勘定科目

ここからは、コピー機に関連する諸費用の勘定科目について解説します。
以下に他費用の勘定科目をまとめました。

内容勘定科目計上方法
トナー代・コピー用紙代消耗品費経費として一括計上
保守・修理代(修理・メンテナンスをした場合)修繕費経費として一括計上
搬入・設置費用消耗備品費経費として一括計上

では、詳しくみていきましょう。

 トナー代・コピー用紙代

社内で購入したトナー代やコピー用紙代は「消耗品費」として計上します。
また、事務で使うものは「事務用品費」として計上しても問題ありません。

消耗品費とした場合の仕訳例は以下のとおりです。

借方貸方
消耗品費20,000円現金20,000円

 保守・修理代

保守にかかるカウンター料金は「消耗品費」として計上します。

借方貸方
消耗品費賃借料5,000円普通預金3,000円

例えば、コピー機のカウンター料金の仕訳は以下の通りです。
一方で、修理やメンテナンスにかかる費用の勘定科目は「修繕費」になります。仕訳例は以下のとおりです。

借方貸方
修繕費30,000円普通預金30,000円

搬入・設置費用

コピー機を搬入・設置するための費用の勘定科目は「消耗備品費」になります。

仕訳例は以下のとおりです。

借方貸方
消耗備品費30,000円普通預金30,000円

コピー機の勘定科目に関するよくある質問

ここからは、コピー機の勘定科目についてよくある質問とその答えとして、以下の2つをご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

  • コピー機を売却したときの勘定科目は?
  • コピー機を廃棄したときの勘定科目は?

コピー機を売却したときの勘定科目は?

コピー機を売却するときは売却損益を計上して、処分価格と帳簿価格の差額を正確に反映させる必要があります。
また、利益が発生した場合は「固定資産売却益」、損失の場合は「固定資産売却損」として会計処理を行わなければなりません。

仕訳例は以下のとおりです。

借方貸方
減価償却累計額140,000円コピー機200,000円
 普通預金または未収入金80,000円固定資産売却益20,000円

この場合、20万円のコピー機を14万円分減価償却し、6万円の売却損益が発生します。
それを8万円で売ったため、2万円の売却益が出たことになります。

コピー機を廃棄したときの勘定科目は?

複合機を廃棄する際には「除却損」を計上して資産から消す必要があります。

固定資産として計上したものは減価償却が終わったあとも残存価額という価値が残るため税金が発生します。
そのため、使用を終えたコピー機は速やかに除却処理を行い、資産台帳から消すことが重要です。

除却によって残存価額をゼロにできるため、結果的に節税効果も期待できます。仕訳例は以下のとおりです。

借方貸方
固定資産除却損600,000円機械装置600,000円

また、廃棄するための費用が発生する場合は、廃棄費用として計上することが可能です。

まとめ

コピー機の勘定科目は購入なのか、リースなのか、レンタルなのかなど、導入方法によって異なります。
また、購入の場合は金額によって科目が分かれ、リースでは契約形態によって減価償却方法が変わります。
 さらに、廃棄・売却時にも適切な勘定科目を選ぶことで、正確な会計処理が可能です。

ぜひこの記事でご紹介した内容を参考に、経費計上を行ってください。

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