
ネットワークセキュリティ 2025.03.03
UTMとは?機能やメリット、注意点、選び方をわかりやすくご紹介
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ネットワークセキュリティ
ネットワークセキュリティを強化する際に「UTM(総合脅威管理)」と「ファイアウォール」のどちらを導入すべきか悩む企業担当者や個人は少なくありません。
ファイアウォールは不正アクセスを防ぐ基本的な防御機能を担うシステムで、UTMは、ファイアウォールを含む複数のセキュリティ機能を統合したものです。
この記事では、UTMとファイアウォールの違いやメリット・デメリット、選ぶときのポイントについて詳しく解説します。
セキュリティ要件や目的に合わせて適切に選択できるよう、ぜひ参考にしてください。
UTMについての詳しい解説はこちらのページをご覧ください。
UTMとは?機能やメリット、注意点、選び方をわかりやすくご紹介
目次
まずはUTMとファイアウォールの特徴や仕組み、役割などを詳しく確認していきましょう。
UTMは「Unified Threat Management」の略で、日本語では「総合脅威管理」と訳されるセキュリティシステムです。
1台の機器に ファイアウォール、アンチウイルス、不正侵入検知・防御システム(IDS/IPS) などのセキュリティ機能が統合されています。
従来のセキュリティシステムでは、これらの機能を個別の製品として導入する必要がありました。
しかし、UTMはオールインワンで提供されるため、管理の負担を軽減しつつ、総合的なセキュリティ対策を実施できます。
UTMの導入には次のようなメリットがあります。
特に中小企業にとっては、コストを抑えつつ強固なセキュリティを確保できる点が魅力です。
UTMの主な役割は、ファイアウォールを含むさまざまなセキュリティ対策を統合し、一元管理することです。
これにより、 複数の脅威に対して包括的な防御が可能となり、侵入経路を最小限に抑えられます。
従来のシステムでは、それぞれのセキュリティ機能が別々に動作していました。
一方、UTMでは一元的に管理できるため、管理者の負担を減らしながら、企業全体のセキュリティレベルを向上させることが可能です。
UTMは、社内ネットワークを構築する際にモデムやルーターに設置し、接続されたすべてのデバイスを保護します。
専用のハードウェアとして提供されるため、特別なインストール作業は不要で、導入も比較的簡単です。
また、取付工事などの物理的な作業も不要なため、短期間で導入でき、迅速にセキュリティ強化を図ることができます。
導入後は自動的にセキュリティアップデートが行われるため、最新の脅威にも対応可能です。
ファイアウォールは、社内と外部ネットワークの中間に配置され、不正アクセスを防止するシステムです。
「Firewall」という言葉は英語で「防火壁」を意味し、火災の被害を防ぐようにネットワーク上の脅威を遮断する役割を持っています。
ファイアウォールは、事前に設定されたルールに基づいて通信を監視し、許可されたデータのみを通過させる仕組みです。
主にネットワークレベルでのセキュリティ対策を担い、外部からの不正アクセスやマルウェア感染を防ぐために利用されます。
ファイアウォールの主な役割は、不正アクセスの検知と遮断です。
ファイアウォールの働きによって、ネットワークの安全性を維持し、社内の重要なデータを保護します。
ファイアウォール単体の専用機器も存在しますが、近年ではUTMの一部として組み込まれるケースが増えています。
そのため、ファイアウォール単体での導入は特定の用途に限られることが多いです。
ファイアウォールの動作原理としては「パケットフィルタリング」と「アプリケーションゲートウェイ」の2つの方式が主に採用されています。
それぞれの違いは、以下のとおりです。
これらの方式を組み合わせることで、ネットワークの安全性を確保しながら、適切なデータ通信を実現しています。
UTMとファイアウォール、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
コストや運用面も含めて、どちらを導入すべきか比較検討してみましょう。
メリット | デメリット | |
UTM | 1台で複数のセキュリティ対策が可能OSのセキュリティレベルに依存しないトラブル対応がスムーズ | 導入コストが高額になりやすい機能を選択できないトラブルが発生時にすべてのセキュリティ機能がストップする |
ファイアウォール | 不正アクセスを防止できるUTMより導入コストが低いアドレス変換機能が備わっている | 単体ではセキュリティ対策が不十分な可能性がある防ぎきれない攻撃もあるファイアウォール同士が干渉する場合がある |
UTMは、複数のセキュリティ機能を1台に統合した機器であり、企業のネットワークを包括的に保護できる点が大きな魅力です。
しかし、万能であるがゆえのコスト面や運用上の制約も存在します。
UTMのメリットは、以下の3つです。
UTMのメリットは、1台で複数のセキュリティ対策を実施できる点です。
ファイアウォールに加えて、ウイルス対策、侵入防止(IPS/IDS)、Webフィルタリング、スパム対策などの機能が統合されており、個別に導入するよりも簡単に管理できます。
また、OSのセキュリティレベルに依存しないため、WindowsやMacなど異なる環境でも一貫したセキュリティを確保できる点もメリットと言えます。
加えて、UTMは一元管理されているため、トラブル発生時に異なるセキュリティソフトやハードウェアの業者に個別対応する必要がなく、スムーズな問題解決が可能です。
UTMのデメリットとして、以下の3つが挙げられます。
UTMは1台に多くの機能が搭載されているため、導入コストが比較的高くなりやすいでしょう。
また、すでに決められたセキュリティ機能が統合されているため、企業のニーズに応じて柔軟に機能を選択することが難しい場合があります。
さらに、UTMに障害が発生すると、すべてのセキュリティ機能が同時に停止し、ネットワーク全体が影響を受けるリスクがあるのもデメリットの一つです。
ファイアウォールは、外部からの不正アクセスを防ぐために必要不可欠なセキュリティ対策です。
UTMと比較すると機能はシンプルですが、コストが抑えられ、運用しやすいという特徴があります。
ファイアウォールのメリットは、以下の3つです。
ファイアウォールを導入すると、不正アクセスを防ぐための基本的なセキュリティ対策が可能です。
ネットワークの通信を監視し、不審なアクセスを検知・遮断することで、サイバー攻撃のリスクを軽減できます。
さらに、UTMと比較すると導入コストが低く、企業の予算や規模に応じた柔軟な選択が可能です。
また、ファイアウォールにはアドレス変換(NAT)機能が搭載されており、内部のIPアドレスを外部から見えなくすることで、ネットワークの安全性を高めることができます。
一方で、ファイアウォールには次のデメリットもあります。
ファイアウォールは不正アクセスの遮断には有効ですが、ウイルスやマルウェアの侵入を検出・防止する機能は備わっていません。
そのため、ウイルス対策ソフトやIPS/IDSなど、ほかのセキュリティ対策と組み合わせる必要があります。
また、高度なサイバー攻撃のなかにはファイアウォールを回避するものもあります。
そのため、ファイアウォール単体で すべての脅威を防ぐのは難しいでしょう。
さらに、すでにファイアウォール機能が標準搭載されたパソコンに、別のファイアウォールをインストールすると、機能が干渉して適切に動作しない場合があります。
UTMとファイアウォールの必要性は、事業規模や求めるセキュリティレベルによって異なるため、より自社に適したほうを選びましょう。
企業の総合的なセキュリティ強化には、UTMの導入をおすすめします。
UTMはファイアウォールやアンチウイルスをはじめとする、複数のセキュリティ機能を統合し、まとめて管理できるからです。
特に中小企業では、個別対策よりもコストや管理の負担を抑えられるメリットがあります。
IT担当者が限られている場合でも、UTMなら効率的に運用可能です。
また、近年は中小企業もサイバー攻撃の標的となっています。
IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2024」によると、中小企業を踏み台にしたサプライチェーン攻撃が2位にランクインしています。
こうしたリスクに備えるためにも、中小企業こそUTMを活用し、総合的なセキュリティ対策を強化することが重要です。
参考:情報セキュリティ10大脅威 2024 | 情報セキュリティ 【IPA 独立行政法人 情報処理推進機構】
自社のニーズに応じて、必要なセキュリティ機能をカスタマイズしたい場合は、ファイアウォールの導入がおすすめです。
ファイアウォールは、ウイルス対策や不正アクセス検知などの機能が搭載されていないため、別途セキュリティ製品を組み合わせる必要があります。
一方で、UTMに統合されているすべての機能が自社に必要とは限りません。
不要な機能がある場合、ファイアウォールを導入し、ウイルス対策ソフトやIPS/IDSなどのセキュリティ製品を個別に選んで組み合わせる方法が適しています。
UTMとファイアウォールは、どちらもサイバーセキュリティ対策を強化するためのツールです。
企業の規模やニーズに合わせて導入しましょう。
UTMは、ファイアウォールに加え、ウイルス対策や不正侵入検知など複数の機能を備えた包括的なセキュリティ機器です。
IT担当者が少ない企業、総合的なセキュリティ対策を求める企業におすすめします。
一方、ファイアウォールは不正アクセスの防御に特化しており、必要なセキュリティ機能を個別に選択できます。
コストを抑えたい企業や、多くのセキュリティ機能を必要としない企業に向いているでしょう。
ファーストでは、UTMをはじめとする様々なセキュリティ製品を提供しております。
セキュリティを強化したい企業のご担当者様は、ぜひファーストにご相談ください。
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